一話「もしかして、原作崩壊に加担してる?」
私は、神様もあの世も、生まれ変わりも異世界転移も——全部、信じている。
だって、私の家族が、どう考えても「普通」じゃないから。
まず、呼び方からして変わってる。母のことは「かか様」、父のことは「てて様」、そして祖父のことは……「おんじ」と呼んでいる。
さて、その「おんじ」から説明しよう。
彼は狼の神様で、姿も巨大な白い犬。自分の社でいつもゴロゴロ寝ている。年齢はなんと二千歳以上。人間の寿命なんて、彼からすればまばたき以下らしい。
そして「かか様」——本名は常沖(つねおき)。女性なのに男名を名乗っているのは、おんじの血筋で、女の長が男名を継ぐ風習のせい。彼女は人間だけど、神の血を引いていて、なんと四百年以上も生きているとか。本人も「長生きしすぎて年、覚えてない」なんて言ってるくらい。
で、「てて様」こと浦原喜助。そう、あのBLEACHに登場する帽子と下駄の謎めいた男。彼は死神だったけれど、過去に罪を着せられて下界へ逃れた。
その時、かか様と再会して泣き崩れたらしい。あの世では彼女も、そしてお腹の中にいた私も「死亡扱い」だったとか……そりゃ、泣くよね。
ちなみに、私はこの世界に生まれながら、前世と前々世の記憶を持っている。人格が固まる前、よく口走ってしまっていたらしい。
三歳になる頃、かか様が「前々世の家族に報復した」と聞いて怖くなり、それ以来、黙っている。
——だって、異世界を跨いで報復って何? 神様こわすぎる。
てて様はそれを知らずに安心してるけど、私は全部覚えてる。
この世界が、漫画『BLEACH』をモデルにした世界だってことも。
けどおかしいんだよね。漫画では浦原喜助は独身で、駄菓子屋の店主。それなのに、今ここには、かか様という神様の血を引く謎の転移者と、私という娘が存在する。
そのうえ、BLEACHには登場しない「オオガミ神社」なんていう神社まであって、そこに狼神のおんじが鎮座してる。
……これ、完全に原作崩壊では?
黒崎一護はちゃんと存在してるの? 原作通りの展開になるの?
もしかして私とかか様、原作崩壊に加担してる?
しかも、かか様の過去にはまだ秘密がある。
彼女、本名を隠してる上に、実は八歳のときにBLEACHの世界に転移してきたらしい。
突然、気づいたらこの世界にいた、と静かに語ってくれた。
私ははそれを信じている。嘘をついている目じゃなかったから。
正直、私は思ってる。かか様が異世界転移した原因、おんじじゃないかって。
神の力で次元を超えることができるなら、他世界にいるおんじの子孫(かか様)を引き寄せるくらい、簡単だったのでは?と。
そして、浦原喜助——てて様は、そんなかか様という「イレギュラー」を制御できる唯一の存在。
だから、藍染惣右介に匹敵する頭脳を持つ彼と、神の血を引いた転移者が結ばれたのは、偶然ではなく、世界の「強制力」が働いた結果なのかもしれない。
……なんて、全部私の妄想だけどね。
それでも私は、この世界がBLEACHを元にした物語だと知ったうえで、静かに生きていくつもり。
どうか、原作崩壊しませんように——と、毎晩祈りながら。
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BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘です。全二十一話です。