<チャリー・・・・ン>
メダルが地に着き、最初に動いたのは・・・ッ!!
「おおおおおおおおッッッッ!!!!」
・・・ノーヴェだ。
ノーヴェは一気に駆け寄り、飛び込み右回し蹴りを放つがそれをナナシはバックステップで回避する。
更にノーヴェは止まる事無く一気に距離を詰め、ラッシュを仕掛ける。
それをナナシは体を傾けたり、反らしたりして躱し、隙を見つける。
「ッ其処だ!」
「ウッ!」
ノーヴェが上段右後ろ回し蹴りをして来たのを上手くしゃがんで回避し、ナナシは顎狙いの右アッパーを放つ。
「うあっ!」
ノーヴェは体制を立て直せず、それでも無理矢理避けようとするも顎にアッパーが掠ってしまい、ダメージを受けてしまう。
「クッ・・・」
「悪ィな・・・今度は俺のターンだッ!!」
ナナシは一気に距離を詰めて左フックを放つ。
「ウッ・・・」
ノーヴェは辛くも避けるが体制を立て直す前に更に攻め寄る。
右回し蹴りから左後ろ回し蹴りに繋げる。
「それは喰らわねぇっ!!!」
しかし、左後ろ回し蹴りをナナシのようにしゃがんで避け、カウンターアッパーを放つ。
「悪ィが自分がした事を相手にもされて、しかもそれを抜け抜けと喰らう程、俺はバカじゃねぇんだよッ!」
ナナシはアッパーを後ろ返りで逆立ちして回避し、逆立ちしたまま手を使って回転し、駒のように脚をプロペラのように広げて横腹に連続蹴りを加える。
「グァッ!そ、そんなのアリかよッ?!」
「お前は『ダウンしたら』と言ったが逆立ちがアウトだなんて一度も言って無いぜ」
「クッソォ・・・」
そんな光景を見たヴィヴィオ達は落ち着いて居られる訳も無く・・・
「すっごぉい・・・」
「アクロバットな攻撃だねぇ~」
「凄い!カッコイイです!」
「あ、あ~いうトリッキーな攻撃『だけ』は相変わらず得意みたいっスねぇ~・・・」
子供達は関心や憧憬の目で見て、ウェンディはナナシに対して呆れたように苦笑する。
「なら・・・これならどうだっ!」
ノーヴェは逆立ちしている軸腕を蹴り飛ばそうとするも、その前に両手で跳んで空中回転して回避する。
「テメェの攻撃は当たらねェよ、もう少し落ち着いて攻撃してきな。 今のお前には猪突猛進という四字熟語が似合ってるぜ?」
「何だとッ?!」
ノーヴェは激情してラッシュを仕掛けるが巧く回避していく。
「悔しかったら一度でも俺に触れる事だな(よし、コレだけ言えばノーヴェの事だ、怒って攻撃が単調になるはず・・・!)」
「だったら・・・本気で行ってやるッッ!」
ナナシはノーヴェを嗾けると、ノーヴェは本気宣言してしまう。
「なっ?! おい、これはスパーであって流石に本気はッ・・・ガッ・・・」
そして宣言されたナナシが焦って本気になるのを言葉で止めようとするも、ノーヴェは問答無用に高速でナナシに接近してコークスクリューブローをナナシの胸目掛けて叩き込む。
叩きこまれたナナシは、ノーヴェの攻撃に反応することが出来ずにそのまま前のめりに倒れてしまう。
そしてナナシがダウンした事で観客はノーヴェの勝利を称えるように盛り上がりながら歓声を上げる。
その歓声を真っ暗な視界の中で聴いたナナシは薄れゆく意識の中、自身が『ノーヴェを嗾けなければ良かった』と反省しながら意識を手放した。
☆★☆
白い病室に、押し開かれた窓からは新鮮な風が部屋に入り込んでレースのカーテンが風で妖艶に舞う。
部屋に設けられた白い純白のベッドには、腰までありそうな程長い金髪に可愛らしい顔立ちをした一人の少女が、隣の椅子に座る自分と同じ金髪の青年と笑いながら談笑していた。
しかし、一気に場面が切り替わり、純白のベッドには横たわって顔に白い布を被せられた少女の姿と、その光景を茫然と見つめる先ほどの青年。
ベッドには純白の布団を悲しみと嘆き、娘を失った絶望の涙で濡らし、喚き泣く夫妻の姿が。
「おお・・・どうして・・・どうしてお前が逝ってしまったんだ・・・」
「逝くなら・・・逝くなら■■■■が逝けば良かったのよぉぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!!」
「この疫病神ッ!私達は娘が欲しかったのに・・・息子など要らんかったのにッ!!貴様をッ・・・■■■■を産んでしまったから・・・!!」
夫妻は涙で顔を歪めながら青年に当たり尽くす。
「・・・」
青年は虚ろな目で何も反抗しない。生気を感じない瞳をして何も答えない。抜け殻のような顔で何も発しない。何も見つめず、何も捉えず、何も視ない。
そして青年は・・・全てをミナクナッタ・・・
☆★☆
公民館医務室・・・
「・・・ん・・・此処は・・・?」
医療用ベッドで眠っていたナナシは、腹部に若干の痛みを味わいながら目を覚ます。
「あっ、ナナシさん!! 起きたんですね?! 良かったぁ~・・・」
突然隣から声が聞こえ、声に反応して隣を見ると其処には椅子に座って自分を看病していてくれたのだろうヴィヴィオが座っていた。
「ヴィヴィオ・・・どうしてお前が・・・? いや、それより此処は一体・・・?」
「此処は医務室です。ノーヴェの攻撃で倒れて意識を失ったナナシさんは此処のベッドに運ばれたんですよ?」
「・・・あ~、そういえばそんな感じだったな・・・」
ヴィヴィオに説明され、全てを思い出したナナシ。
「ノーヴェも倒れてから一向にナナシさんが起き上がらないからすっごく焦ってましたよ?」
「そうか・・・アイツを嗾けて本気にさせたのは俺だからな、後で謝っておくか」
「ヴィヴィオ~、ナナシ起きたか~?」
「あっ、噂をすれば!」
「えっ? あっ! ナッ、ナナシ?! 何時起きたんだ!? 心配したんだぞ?!」
自分と対戦し、自分を気絶させたノーヴェの事を思い出し、謝ろうと決めた直後に医務室の扉が開き、ノーヴェが入って来て起きていたナナシを見てノーヴェはワタワタと顔を紅くしながら慌てる。
「起きたのはさっきだ、心配させたのとお前をスパーの最中に嗾けたのは悪かったな。スマナイ」
ナナシは頭を下げ、ノーヴェに謝罪する。
「そ、そんな謝るなよ! 悪いのはアタシだ・・・スパーだってのに本気出して思い切り殴っちまった・・・本当にゴメンッ!」
「別に構わねぇよ。コッチにも非があるのは確かだし、両互いに悪かったと思い、反省すりゃ良い」
「・・・アリガト」
「礼は要らねぇからな。さて、みんなが待って居るだろ?さっさと行こうぜ」
そう行ってベッドから降り、ベッドの横に掛けられた上着を取って着るナナシ。
「もう大丈夫なんですかッ・・・?」
「あぁ、この通りだ。心配無い(ッ・・・・テェ・・・)」
気遣って来るヴィヴィオを安心させる為に痛む腹部を我慢し耐えて腰を左右に回す動作をする。
それを見て安心したヴィヴィオとノーヴェ。
ナナシは2人と共に医務室を出てみんなが待ってるロビーへと向かった。
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この物語の主人公である青年はホームレスである。
何時もはクラナガンのとある川原に設置されたボロボロの小屋に住み、バイトは市立図書館の司書。そんな青年がちょっとした切欠で管理局のエース・オブ・エースの高町なのはの義娘で聖王の現身である高町ヴィヴィオと出会い、その出会いによって青年の運命が色々と変わって行く物語。