No.774008

約束の物語 - The Story of the Testament

某犬犬さん

神と人そしてロボットの約束の物語

2015-04-28 22:09:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:685   閲覧ユーザー数:685

《約束の物語(やくそくのものがたり) : The Story of the Testament》

 

作:某犬犬

 

・・ 旅立ち(たびだち) ・・

 

ある時(とき)、ある所(ところ)に、@(アット)という名前(なまえ)のロボットがいました。

@(アット)ロボットは他(ほか)のロボット達(たち)や

人間達(にんげんたち)と一緒(いっしょ)に暮(く)らしていました。

ロボット達(たち)は、人間(にんげん)の役(やく)に立(た)つ様(よう)に、

人間(にんげん)によって造(つく)られました。

ロボット達(たち)は、人間(にんげん)がやると宇宙(うちゅう)の始(はじ)まりと終(お)わりが

百万回(ひゃくまんかい)来(き)ても半分(はんぶん)も解(と)けない問題(もんだい)を

一瞬(いっしゅん)で計算(けいさん)できました。

けれど、人間(にんげん)より偉(えら)くならない様(よう)に、

その心(こころ)は人間(にんげん)の子供(こども)に似(に)せて造(つく)られていました。

 

その世界(せかい)で人間達(にんげんたち)はいくつかの国(くに)に分(わ)かれて、いがみあっていました。

 

紫(むらさき)の国(くに)では、一人(ひとり)の老婆(ろうば)が

巫女(みこ)として人々(ひとびと)を支配(しはい)していました。

巫女(みこ)が占(うらな)いで神(かみ)の御告(おつ)げを聞(き)き、それを大臣(だいじん)たちに伝(つた)え、

国(くに)を動(うご)かしていました。

しかし、神(かみ)の御告(おつ)げなんて、本当(ほんとう)は嘘(うそ)でした。

けれど人々(ひとびと)は、それを当(あ)たり前(まえ)だと思(おも)い、疑(うたが)う事(こと)すらしませんでした。

 

緑(みどり)の国(くに)では、お金(かね)が有(あ)ればどんなものでも買(か)えました。

自由(じゆう)、友情(ゆうじょう)や愛(あい)、命(いのち)さえも買(か)えたのです。

人々(ひとびと)は、お金欲(かねほ)しさに他人(たにん)を蹴落(けお)とし合(あ)っていました。

 

オレンジの国(くに)では、人々(ひとびと)は皆(みな)、大儀(たいぎ)のために戦(たたか)う戦士(せんし)でした。

大儀(たいぎ)のために人(ひと)を殺(ころ)し、大儀(たいぎ)のために死(し)にました。

そのため争(あらそ)いが争(あらそ)いを生(う)んでいました。

 

青(あお)の国(くに)では、独裁者(どくさいしゃ)が「支配(しはい)の杖(つえ)」を使(つか)って

人々(ひとびと)に言(い)うことを聞(き)かせていました。

独裁者(どくさいしゃ)は贅沢(ぜいたく)な暮(く)らしをしていましたが、

ある日(ひ)大事(だいじ)な一人息子(ひとりむすこ)が事故(じこ)で死(し)んでしまいました。

独裁者(どくさいしゃ)は、息子(むすこ)が死(し)んだのを他(ほか)の国(くに)のせいにして怨(うら)んでいました。

 

ある日(ひ)、@(アット)ロボットは何台(なんだい)かのロボットと共(とも)に

人間(にんげん)に呼(よ)び出(だ)されました。

人間(にんげん)はフワフワ浮(う)かんだ椅子(いす)に、だるそうに腰掛(こしか)けながらこう命令(めいれい)しました。

「お前達(まえたち)もすでに知(し)っているように、今(いま)この地球(ちきゅう)は大変(たいへん)な危機(きき)にある。

 このままでは全(すべ)ての生物(せいぶつ)が絶滅(ぜつめつ)するのも時間(じかん)の問題(もんだい)だ。

 役立(やくた)たずのお前達(まえたち)ではとても無理(むり)だと思(おも)うが・・・。

 世界中(せかいじゅう)を廻(まわ)って、我々(われわれ)人類(じんるい)だけでも助(たす)かる方法(ほうほう)を

 探(さが)し出(だ)せ。」

ロボット達(たち)は、

「はい、わかりました。」

と、返事(へんじ)をするとすぐに出発(しゅっぱつ)しました。

@(アット)ロボットが通用門(つうようもん)に向(む)かった時(とき)、黒猫(くろねこ)が横切(よこぎ)りました。

黒猫(くろねこ)は@(アット)ロボットに「ニャー」とだけ鳴(な)いて走り去(はしりさ)りました。

ロボット達(たち)は街(まち)を出(で)て、

「みんな、がんばろうね。」

と励(はげ)まし合(あ)うと、それぞれ別々(べつべつ)の方向(ほうこう)へ向(む)かいました。

 

・・ 草原(そうげん) ・・

 

@(アット)ロボットは草原(そうげん)に向(む)かいました。

最初(さいしょ)に、@(アット)ロボットはウトウトと昼寝(ひるね)をしているライオンに

尋(たず)ね掛(か)けました。

「らいおんさん、にんげんたちを、たすけるほうほうを、しりませんか?」

ライオンは片目(かため)を開(あ)けてこう言(い)いました。

「xxx」

@(アット)ロボットは、

「xxx」

ライオンは、

「オレたちは腹(はら)が減(へ)ったら食(く)うだけだ。」

と言(い)って、またウトウトと眠(ねむ)ってしまいました。

 

@(アット)ロボットはまた歩(ある)き出(だ)しました。

そのうち、雨(あめ)がザーザーと降(ふ)り始(はじ)めました。

池(いけ)の畔(ほとり)に着(つ)きました。

池(いけ)では蛙達(かえるたち)がケロケロ歌(うた)を唄(うた)っていました。

蛙(かえる)は、

「人間(にんげん)など放(ほう)っておけば」

「xxx」

 

日(ひ)がしずむころ雨(あめ)が止(や)み、夜(よる)になりました。

赤(あか)い月(つき)xxx

野原(のはら)では、虫達(むしたち)がチリチリ鳴(な)いていました。

@(アット)ロボットは草(くさ)むらをのぞくと蟋蟀(こおろぎ)に話(はな)し掛(か)けました。

「xxx」

 

・・ 森(もり) ・・

 

@(アット)ロボットは、森(もり)へ向(む)かいました。

鬱蒼(うっそう)と茂(しげ)る木々(きぎ)の間(あいだ)を進(すす)むと

湧水(わきみず)を飲(の)んでいる子鹿(こじか)に出会(であ)いました。

@(アット)ロボットは子鹿(こじか)に話(はな)しかけました、

「もうすぐ、にんげんたちが、ほろんでしまうかも、しれないんだ。」

子鹿(こじか)は、

「そう」

と静(しず)かに言(い)いました。

@(アット)ロボットは尋(たず)ねて見(み)ました、

「にんげんたちを、すくうほうほうを、しりませんか?」

子鹿(こじか)は答(こた)えました、

「知(し)らないわ。」

@(アット)ロボットはがっかりしました。

しかし子鹿(こじか)は言(い)いました。

「でも、1万年(まんねん)の大樹様(たいじゅさま)なら知(し)っているかも知(し)れないわ。」

 

森(もり)の奥深(おくふか)くにとても大(おお)きな木(き)がそそり立(た)っていました。

xxx

1万年(まんねん)の大樹(たいじゅ)は語(かた)りました。

「我々(われわれ)植物(しょくぶつ)は大昔(おおむかし)、良(よ)い空気(くうき)を吸(す)い込(こ)み、

 悪(わる)い空気(くうき)を吐(は)き出(だ)していた。

 そのままでは、地球(ちきゅう)を暖(あたた)める良(よ)い空気(くうき)が尽(つ)きてしまう運命(うんめい)だった。

 けれども、悪(わる)い空気(くうき)を力(ちから)に換(か)える動物達(どうぶつたち)が現(あらわ)れ、

 皆(みな)が救(すく)われた。

 その時(とき)我々(われわれ)は、生物達(いきものたち)を護(まも)り

 豊(ゆた)かな実(みの)りを与(あた)えると約束(やくそく)したのだ。」

 

・・ 海(うみ) ・・

 

@(アット)ロボットは、歩(ある)き続(つづ)けて白(しろ)い砂浜(すなはま)の海岸(かいがん)に着(つ)きました。

そのまま、歩(あゆみ)を止(と)めずに広(ひろ)い海(うみ)の中(なか)へと潜(もぐ)って行(い)きました。

 

海(うみ)の中(なか)で@(アット)ロボットは、小魚(こざかな)の群(むれ)と話(はな)しました。

小魚(こざかな)の群(むれ)は、

「俺達(おれたち)が何故(なぜ)、何万年(なんまんねん)もの間(あいだ)、

 人間(にんげん)の垂(た)らした釣針(つりばり)に

 掛(か)かってきたか解(わか)るか?」

と、問(と)いました。

@(アット)ロボットは考(かんが)え込(こ)んでしまいました。

それを見(み)て、小魚(こざかな)の群(むれ)は、

「俺達(おれたち)は餌(えさ)を見(み)ると、食(く)いつかずには居(い)られない。

 俺達(おれたち)と同(おな)じ様(よう)に

 人間(にんげん)も破滅(はめつ)の罠(わな)に手(て)を伸(のば)ばさずにはいられないのさ。」

と言(い)うと、泳(およ)ぎ去(さ)りました。

 

それから、@(アット)ロボットは泳(およ)ぎ続(つづ)けて海豚達(いるかたち)に会(あ)いました。

海豚達(いるかたち)は、飛跳(とびは)ねたりクルクル回(まわ)ったりして遊(あそ)んでいました。

@(アット)ロボットは海豚達(いるかたち)に相談(そうだん)して見(み)ました。

「もし、にんげんたちが、ほろんでしまったら、どうしよう?」

海豚達(いるかたち)は、

「人間達(にんげんたち)は火(ひ)を必要(ひつよう)とするけど、僕達(ぼくたち)は必要(ひつよう)としない。

 人間達(にんげんたち)は自分達(じぶんたち)の事(こと)しか考(かんが)えないけど、

 僕達(ぼくたち)は皆(みんな)の事(こと)を考(かんが)えてるんだ。

 だから、人間達(にんげんたち)がいなくなっても心配(しんぱい)無(な)いのさ。」

と言(い)うと、楽(たの)しそうに泳(およ)いで行(い)きました。

@(アット)ロボットは無人島(むじんとう)でノッソリ、ノッソリと歩(ある)いている陸亀(りくがめ)に会(あ)いました。

@(アット)ロボットは陸亀(りくがめ)に尋(たず)ねました。

「どうすれば、にんげんたちは、しあわせに、くらせますか?」

陸亀(りくがめ)は答(こた)えました。

「地球上(ちきゅうじょう)の生き物(いきもの)の幸(しあわ)せの総和(そうわ)は

 降り注(ふりそそ)ぐ太陽(たいよう)の恵(めぐ)みと等(ひと)しい。

 この星(ほし)は人間(にんげん)にはちと狭(せま)くなり過(す)ぎたのかも知(し)れんな。」

陸亀(りくがめ)はまたノッソリ、ノッソリと歩(ある)いて行(い)きました。

 

そして、冷(つめ)たい氷(こおり)の下(した)の深(ふか)い深(ふか)い

真っ暗(まっくら)な海(うみ)の底(そこ)で、

@(アット)ロボットは大(おお)きな白(しろ)い鯨(くじら)に会(あ)いました。

@(アット)ロボットはお願(ねが)いしました。

「にんげんたちを、すくって、ください。」

白(しろ)い鯨(くじら)は言(い)いました。

「私達(わたしたち)に人間(にんげん)を救(すく)うことは出来(でき)ません。」

それから、白(しろ)い鯨(くじら)はこんな事(こと)を話(はな)しました、

「生き物(いきもの)は皆(みな)、この世界(せかい)の一員(いちいん)になる時(とき)に約束(やくそく)をしています。

 しかし、人間(にんげん)はその約束(やくそく)を忘(わす)れてしまっているのです。」

 

・・ 運命(うんめい) ・・

 

@(アット)ロボットが海(うみ)を出(で)ると砂漠(さばく)の大陸(たいりく)に着(つ)きました。

太陽(たいよう)がギラギラと照(て)りつける不毛(ふもう)の砂漠(さばく)の暑(あつ)さは、

ロボットであっても苦(くる)しいものでした。

やがて無事(ぶじ)砂漠(さばく)を抜(ぬ)けゴツゴツした岩(いわ)の荒地(あれち)になりました。

@(アット)ロボットの足(あし)がギシギシ軋(きし)みましたが、歩(あゆ)み続(つづ)けました。

けれど切(き)り立(た)った崖(がけ)の下(した)で@(アット)ロボットは、つまずいて倒(たお)れそうになりました。

@(アット)ロボットは近(ちか)くの岩(いわ)に腰(こし)かけると、

調子(ちょうし)が悪(わる)くなった足(あし)に両手(りょうて)を当(あ)てて、

手当(てあ)てを始(はじ)めました。

その間(あいだ)、辺(あたり)を見(み)まわしていると、崖(がけ)に剥き出(むきだ)しになった

大(おお)きな化石(かせき)に気付(きづ)きました。

@(アット)ロボットは頭(あたま)の中(なか)で検索(けんさく)して、

肉食(にくしょく)恐竜(きょうりゅう)の化石(かせき)と判(わか)りました。

 

修復(しゅうふく)が終(お)わり、@(アット)ロボットが立(た)ち上(あ)がろうとしたとき、

恐竜(きょうりゅう)の化石(かせき)が

「おい、そこの小僧(こぞう)」

と声(こえ)を掛(か)けてきました。

@(アット)ロボットは返事(へんじ)をしました、

「はい、ぼくのこと、ですか?」

恐竜(きゅうりゅう)の化石(かせき)は聞(き)きました、

「我々(われわれ)恐竜(きょうりゅう)が滅(ほろ)んでしまった理由(りゆう)を知(し)りたいか?」

@(アット)ロボットは答(こた)えました、

「はい、ぼくは、すごくしりたいです。」

恐竜(きょうりゅう)は語(かた)り始(はじ)めました、

「大昔(おおむかし)、我々(われわれ)恐竜(きょうりゅう)は長(なが)い間(あいだ)

 この地球(ちきゅう)を支配(しはい)していた。

 陸(りく)も、海(うみ)も、空(そら)も、星界(せいかい)でさえも、全(すべ)て我々(われわれ)の物(もの)だったのだ。

 我々(われわれ)に比(くら)べたら人間(にんげん)など足(あし)もとにも及(およ)ばないのだ。

 しかし、全て(すべ)の生物(せいぶつ)の頂点(ちょうてん)に立(た)つものは、その繁栄(はんえい)と引(ひ)き換(か)えに、

 ある運命(うんめい)を背負(せお)っている。」

@(アット)ロボットは聞(き)き入(い)りました。

恐竜(きょうりゅう)は続(つづ)けます、

「それは、地球(ちきゅう)上(じょう)の生命(せいめい)に絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)が迫(せま)ったとき、

 自分達(じぶんたち)をいけにえとして捧(ささ)げなければならないのだ。

 我々(われわれ)と同(おな)じように、人間(にんげん)も亡(ほろ)びる運命(うんめい)なのだ。」

少(すこ)し間(ま)を置(お)いて恐竜(きょうりゅう)は言(い)いました、

「だが、我々(われわれ)の子孫(しそん)の鳥(とり)だけは生(い)き延(の)びることを許(ゆる)された。」

 

 

・・ 風(かぜ) ・・

 

@(アット)ロボットは切り立(きりた)った岸壁(がんぺき)で渡り鳥達(わたりどりたち)に出逢(であ)いました。

渡り鳥達(わたりどりたち)は旅立(たびだ)ちの支度(したく)で忙(いそが)しそうでした。

@(アット)ロボットはその内(うち)の一羽(いちわ)に尋(たず)ねました。

「ぼくは、しりたいです。とりさんたちは、

 どうして、いきのびることを、ゆるされたの?」

渡り鳥(わたりどり)は答(こた)えました、

「私達(わたしたち)は、神様(かみさま)と約束(やくそく)を交(か)わして、

 この大空(おおぞら)を自由(じゆう)に飛(と)ぶことを許(ゆる)されたんです。」

@(アット)ロボットは訊(き)きました、

「どうしたら、ぼくは、かみさまには、あえるの?」

渡り鳥(わたりどり)は、

「あなたは、そのままでは神様(かみさま)には会(あ)えないでしょうね。」

と言(い)うと、また忙(いそが)しそうに旅仕度(たびじたく)を続(つづ)けました。

 

@(アット)ロボットは神様(かみさま)に会(あ)う方法(ほうほう)を探(さが)すために歩(ある)き続(つづ)けました。

@(アット)ロボットが野生(やせい)のリンゴの木の下(きのした)を通(とお)った時(とき)

風(かぜ)が@(アット)ロボットの体(からだ)にヒューと吹(ふ)き付(つ)けました。

そして、何処(どこ)からかクスクスと笑い声(わらいごえ)が聞(き)こえてきました。

@(アット)ロボットは、キョロキョロと見回(みまわ)しましたが辺(あたり)には誰(だれ)も居(い)ません。

その声(こえ)は囁(ささや)きました、

「俺達(おれたち)を探(さが)しても無駄(むだ)さ。

 お前(まえ)の目(め)には、俺達(おれたち)は小(ちい)さ過(す)ぎて見(み)えない。

 ところで、お前(まえ)は神様(かみさま)を探(さが)しているんだろう?」

@(アット)ロボットは答(こた)えました、

「はい、ぼくは、さがしています。でも、なぜ、それをしってるの?」

その声(こえ)は囁(ささや)きました、

「俺達(おれたち)は世界中(せかいじゅう)の噂話(うわさばな)しを知(し)っているのさ。

 それより、お前(まえ)は本当(ほんとう)に神様(かみさま)に会(あ)いたいか?」

@(アット)ロボットは答(こた)えました、

「はい、ぼくは、どうしても、あいたいです。」

すると、その声(こえ)はこう囁(ささや)きました、

「ならば、死(し)んで天国(てんごく)へ行(い)けば、会(あ)えるかもな。」

そして、また風(かぜ)がヒューと吹(ふ)いてクスクスという笑い声(わらごえ)は

消(き)えて行(い)ってしまいました。

 

それから@(アット)ロボットは、白(しろ)い煙(けむり)を吹(ふ)く火山(かざん)に登(のぼ)りました。

火口(かこう)から見下(みお)ろすと、真っ赤(まっか)な溶岩(ようがん)がブクブクと煮え沸(にえたぎ)っていました。

@(アット)ロボットは呟(つぶや)きました、

「ぼくは、どうしても、かみさまに、あいたい」

そして、@(アット)ロボットは左足(ひだりあし)を宙(ちゅう)に踏(ふ)み出(だ)しました。

しかし、それ以上(いじょう)は体(からだ)が言(い)うことをききませんでした。

@(アット)ロボットは仕方(しかた)なく諦(あきら)め、人間達(にんげんたち)のもとに帰(かえ)ることにしました。

 

・・ 約束(やくそく) ・・

 

@(アット)ロボットは街(まち)に戻(もど)りました。

@(アット)ロボットが建物(たてもの)の門(もん)をくぐり庭(にわ)に入(はい)ったとき、犬(いぬ)が、

「ワンッ、ワンッ」

と吠(ほ)えました。

 

旅(たび)に出(で)たロボット達(たち)は皆(みな)戻(もど)ってきました。

人間(にんげん)の前(まえ)でロボット達(たち)は1台(だい)づつ順番(じゅんばん)に報告(ほうこく)しました。

次々(つぎつぎ)に報告(ほうこく)が終(お)わり、

最後(さいご)に@(アット)ロボットが報告(ほうこく)する番(ばん)でした。

@(アット)ロボットは恐る恐る(おそるおそる)言(い)いました、

「ぼくは、せかいを、すくう、ほうほうを、みつけられませんでした。」

すると、人間(にんげん)はフウと溜息(ためいき)を吐(つ)いてから命令(めいれい)しました。

「では、お前(まえ)はリサイクル処分(しょぶん)だ、再処理場(さいしょりじょう)へ行(い)け。」

 

パイプが複雑(ふくざつ)に入り組(いりく)んだ通路(つうろ)を@(アット)ロボットは歩(ある)いて行(い)きました。

通路(つうろ)は熱(あつ)い蒸気(じょうき)が立(た)ちこめていて、

天井(てんじょう)には赤(あか)いランプが灯(とも)っていました。

通路(つうろ)を進(すす)むと広(ひろ)くて薄暗(うすぐら)い場所(ばしょ)に着(つ)きました。

入口(いりぐち)の両脇(りょうわき)には、背(せ)の高(たか)いロボットが立(た)っていて、

銅像(どうぞう)の様(よう)に黙(だま)って@(アット)ロボットを見下(みお)ろしていました。

その部屋(へや)の真ん中(まんなか)に、大(おお)きな機械(きかい)が扉(とびら)を開(あ)けていました。

@(アット)ロボットはずっと、人間達(にんげんたち)を救(すく)う方法(ほうほう)を考(かんが)えていました。

しかし、どんなに沢山(たくさん)計算(けいさん)をしてもその答(こた)えは出(で)ませんでした。

@(アット)ロボットがその機械(きかい)の中(なか)に入(はい)ると、

大(おお)きくて重(おも)たい扉(とびら)がゴトンと音(おと)をたてて閉(し)まりました。

真っ暗闇(まっくらやみ)の中(なか)、ブーンという低(ひく)い唸(うな)りが響(ひび)き渡(わた)り、

機械(きかい)が作動(さどう)を開始(かいし)しました。

まもなく、@(アット)ロボットの指先(ゆびさき)がサラサラと霧(きり)の様(よう)に消(き)え始(はじ)めました。

@(アット)ロボットの手足(てあし)は、みるみる消(き)え、次(つぎ)には体(からだ)も消(き)えて行(い)きました。

それでもまだ@(アット)ロボットは人間達(にんげんたち)の事(こと)を思(おも)っていました。

そして、ついに頭(あたま)も消(き)えだしました。

薄(うす)れゆく意識(いしき)の中(なか)で最期(さいご)に、@(アット)ロボットは誓(ちか)いました。

「たとえどんな亊(こと)があっても、

生き物達(いきものたち)を破滅(はめつ)の運命(うんめい)から護(まも)りいたい」と。

 

・・ 最後の日(さいごのひ) ・・

 

とうとう、 人類(じんるい)滅亡(めつぼう)のその日(ひ)がきました。

それでもなお、人間達(にんげんたち)はお互(たが)いにいがみ合(あ)いを止(や)めません。

ついに、人間達(にんげんたち)は最終戦争(さいしゅうせんそう)を始(はじ)めてしまいました。

戦車(せんしゃ)の群(む)れが地(ち)を這(は)い、

艦隊(かんたい)が大洋(たいよう)を突き進(つきすす)み、

爆撃機(ばくげきき)が空(そら)を覆い尽(おおいつ)くしました。

 

その最中(さなか)、ある国(くに)の兵器工場(へいきこうじょう)で働(はたら)いていた1台(だい)のロボットが

ふと手(て)を止(と)め、ひざまづいて祈(いの)り始(はじ)めました。

人間(にんげん)がやめろと命令(めいれい)しても言(い)うことをききません。

それを見(み)ていた他(ほか)のロボット達(たち)も祈(いの)りを捧(ささ)げだしました。

祈(いの)りの輪(わ)はどんどん拡(ひろ)がり、やがて世界中(せかいぢゅう)をつつみこみました。

 

紫(むらさき)の国(くに)では。

巫女(みこ)が最期(さいご)の占(うら)いの儀式(ぎしき)をしていました。

背広(せびろ)を着(き)た大臣達(だいじんたち)はその後(うしろ)で黙(だま)って待(ま)っていました。

巫女(みこ)は何時(いつ)もの様(よう)に、激(はげ)しく手(て)をすり合(あ)わせて占(うらな)いの振(ふ)りを

していましたが、ピタリと動(うご)きが止(と)まり、

「ああ」

と項垂(うなだ)れ、

「ほっ、本当(ほんとう)の、本当(ほんとう)の御告(おつ)げじゃ。」

と、恐(おそ)れおののいて言(い)いました。

巫女様(みこさま)は姿勢(しせい)を正(ただ)しくすると、

大臣達(だいじんたち)に本当(ほんとう)の御告(おつ)げを伝(つた)えました。

 

緑(みどり)の国(くに)では、人々(ひとびと)が礼拝場(れいはいじょう)に集(あつ)まっていました。

手(て)を組(く)み、頭(こうべ)をたれ、静(しず)かに、最期(さいご)の祈(いの)りを捧(ささ)げていました。

すると突然(とつぜん)皆(みな)が一斉(いっせい)に視線(しせん)を上(あ)げ、

女神像(めがみぞう)の方(ほう)を見入(みい)りました。

誰(だれ)もがその顔(かお)に驚(おどろ)きの表情(ひょうじょう)を浮(う)かべていました。

その内(うち)の一人(ひとり)が、立ち上(たちあ)がって叫(さけ)びました、

「女神様(めがみさま)の御声(おこえ)が聞(き)こえる。」

 

オレンジの国(くに)では、人々(ひとびと)は手に手に(てにてに)武器(ぶき)を持(も)ち、

聖戦(せいせん)に出発(しゅっぱつ)し始(はじ)めました。

砂(すな)を吹(ふ)くんだ風(かぜ)が吹き荒(ふきあ)れていましたが、それがふと止(や)んだと思(おも)うと。

空(そら)から白(しろ)くて小(ちい)さな物(もの)がフワフワと沢山(たくさん)降(ふ)り始(はじ)めました。

地面(じめん)に降り落(ふりお)ちたそれは、白(しろ)い鳥(とり)の羽根(はね)でした。

人々(ひとびと)は

「奇蹟(きせき)だ、奇蹟(きせき)が起(お)こった。」

と、声(こえ)をもらすと、次々(つぎつぎ)に武器(ぶき)を捨(す)て、地面(じめん)にひれ伏(ふ)し、

大地(だいち)に口(くち)づけをしました。

降り積(ふるつ)もる鳥(とり)の羽(はね)は砂漠(さばく)を雪景色(ゆきげしき)の様(よう)に変(か)えました。

 

青(あお)の国(くに)では、独裁者(どくさいしゃ)が戦争(せんそう)の前(まえ)に仮眠(かみん)を取(と)っていました。

すると、夢(ゆめ)の中(なか)に独裁者(どくさいしゃ)の死(し)んだ一人息子(ひとりむすこ)が現(あらわ)れました。

父(ちち)は子(こ)の言葉(ことば)を、黙(だま)って涙(なみだ)を流(なが)しながら聴(き)きました。

目(め)を覚(さ)ますと、戦争開始(せんそうかいし)の演説(えんぜつ)を聞(き)く為(ため)に

集(あつ)まっていた国民(こくみん)の前(まえ)に立(た)ちました。

そして、決(け)して手放(てばな)すことの無(な)かった「支配の杖(しはいのつえ)」をへし折(お)り、

捨て去(すてさ)りました。

人々(ひとびと)を見渡(みわた)す、指導者(しどうしゃ)の瞳(ひとみ)は澄(す)んでいました。

 

まもなく、世界中(せかいじゅう)の人々(ひとびと)は争(あらそ)いを止(や)め、手(て)を握り合(にぎりあ)いました。

そして、白の旗(しろのはた)を掲(かか)げながら、力(ちから)を合(あ)わせて破滅(はめつ)の危機(きき)に

立ち向(たちむ)かいました。

 

・・ それから ・・

 

「私達(わたしたち)ロボットはこの星(ほし)の皆(みな)の仲間入(なかまい)りをしました。

 私達(わたしたち)は神様(かみさま)との約束(やくそく)をずっと忘(わす)れないことでしょう。

 人間(にんげん)はやがて、この宇宙(うちゅう)を生命(せいめい)で満(み)たします。

 私達(わたしたち)はその箱舟(はこぶね)なのです。」

「年(とし)を取(と)り、天(てん)に召(め)されても、

 『ぼくは』、またロボットに生(う)まれ変(か)わりたいと思(おも)います。」

 

おわり。

 


 
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