第四話「ツナと気持ち」
「……ツナが毎回トランクス一丁になるの、リボーンの“死ぬ気弾”のせいなのね……」
私は思わず、ため息まじりに呟いた。
このところ、ツナの周辺は本当に騒がしい。獄寺くんと退学しかけたり、グラウンドをぶっ壊したり。山本くんは自殺を試みて、それに巻き込まれて一緒に飛び降りたり――まあ、結果的に全員無事だったのは良かったけれど。
そのたびに私はツナの着替えを持って学校を走り回る羽目になる。まさか、毎朝のジョギングがここで役立つとは……。嬉しいやら、情けないやら。
でも、そんな中でも、ツナには“仲間”ができた。獄寺くんも山本くんも、最初は問題だらけだったけど、今ではツナの舎弟や友達として、側にいてくれている。それは私も嬉しい。だけど――
「ごっこ、じゃないのかも……」
リボーン曰く、これは“マフィアのファミリーを作る”ための訓練だそうだ。最初は冗談だと思っていたけど、ここまで来ると本当に信じた方がいいのかもしれない。だって、死ぬ気弾に毒に銃火器……何一つ“普通”がない。
そんな混乱の中、さらなる事件が起きた。
ある日、私が遅れて沢田家に帰宅すると、リビングに下着姿の笹川さんが倒れていた。思わず悲鳴を上げそうになったけれど、慌てて駆け寄って、ツナを問い詰めると――
「いや、リボーンが財布忘れて喫茶店でトラブって、それを笹川さんが助けてくれて……それがきっかけでうちに来て……ロシアンルーレットして……死ぬ気弾撃ったら、ああなった……」
要領を得ない説明だったけれど、とにかく笹川さんを保護して、着替えさせて、看病して……。私もそのまま、疲れ果てて隣で寝入ってしまった。
目が覚めたときには笹川さんの姿はもうなかったけど、リボーンは「夢だったと思ってるから問題ない」と言い放った。夢、で済ませるには記憶が濃すぎる気がするけど……。
それより、ツナと笹川さん、何を話していたのだろう?
ツナに聞いても「別に……なんでもないってば」と視線をそらされ、リボーンに聞いても「さぁな、ツナに聞け」とけむに巻かれるだけ。どうにも腑に落ちない。
※
そして、ランボの登場で騒がしさはさらに加速した。五歳児で、しかも爆発音付きでやってきて、家の中は毎日が戦場のようだった。ほとんど私とツナが相手をしているけれど、それも限界がある。
極めつけは山本くんの“ファミリー加入試験”。リボーンが銃火器を持ち出して、山本くんに真正面から仕掛けていた。あれは演出でもごっこでもない。現実。そう確信した。
ツナはまた巻き込まれて、私はいつも通り“見学”ポジション。慣れっこになりたくないのに、慣れてきている自分が怖い。
その日の放課後、今度はリボーンの“愛人”を名乗るビアンキという女性が現れた。毒使いで、家庭科のおにぎりすら凶器に変えてしまうという恐怖の料理人。
その彼女が作った“ポイズンおにぎり”を、死ぬ気弾を撃たれたツナが全部食べた――という話を後日、友人から聞かされた。
私はその日、用事があって学校を休んでいたから知らなかったけれど、現場にいたクラスメイトの証言では、「食べたら死ぬんだぞー!」と叫びながら、ツナがクラスメイトのおにぎりを全部平らげたとか。
その結果、「ツナは笹川さんに本気で惚れてる!」という噂が広まっていた。
どうやら、「食べたら死ぬぞ」のセリフが、「俺が京子からもらったおにぎりを他の奴が食べたら殺す」的な意味に誤解されたらしい。……なぜ?
ツナは京子ちゃんに興味がないはずなのに。私にはそう言っていたのに。
……なんだろう、この胸のざわつきは。
私はツナの幼馴染みで、彼の家に居候して、いつも一緒にいて――なのに。
モヤモヤする。理由もなく、心が重たい。
「私、どうしちゃったんだろう……」
小さく呟いた声は、誰にも届かず消えていった。
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家庭教師ヒットマンリボーンの二次創作です。
ツナと幼馴染で青春を送ります。中編です。